breath

ふんがー!
あたしはこのところ、半径五メートルくらいのにおいしか嗅いでない気がする。テレビも見てないし新聞も読んでないし、世の中の流れには全く交わる気力がない。ネットなんてさらにそう。膨大すぎる情報、いくつかは選んで採り入れた方が身のためだけど、あの、うーんと、PC開いてマウス動かしてリンク辿るのしんどいです。インプット作業を暫定的削減中なのです。ふんがー!
例えばいま電車に乗ってるんだけど、真ん前のサラリーマンのおっちゃんが「とりパス」とかいう細長いプラスチックみたいなもんを抱えていて、鳩のフンから家を守る!みたいなことがパッケージに書かれていて、どうやって使うんだろうとかそんなに困っているのか鳩にとかどこで買ったんだそれとかいうのには興味あります。隣のおっちゃんはわらび餅とかメロンパンとかさっきから一心不乱に食していて気になります。それより大きなことはあんまり考える気がしません。
この世にある全ての書物を読破することなんかできないように、いま同じ電車に乗ってるすべての人と解り合えるなんてことはなくて、大学が一緒で部活が一緒で学年が一緒のやつとでも、完全に解り合えることはできないしその必要はない。あたしはあたし。他人は他人。心の内そう簡単にさらせるかよ。眠いのか知らんけどそんな気分だわ。いや、あたしって結局そういう思想だわ。自分がされて嬉しいことは、自分だけしか嬉しくないんだろうな。
それでもその人が好きで堪らんから、どうぞあたしの事を見透かして下さいと擦り寄ってお願いしたい人が三人くらいできた。それは甘えとちゃうんかって思った。他人に頼るな自分で突っ立っとけって自省した。でも上手くいってるんだ、そっちの方が。なんだか生きやすいんだ。
あたしは死後の世界観を持っていなくて、心臓止まったらはいサヨウナラ、ぷっつり切れるものだと思ってる。いつ終わるかわからない糸を、いたずらに引っ張ってどこか生き急いでいる。でもそれでいい。好きだと思える人、その存在があたしの中にあるだけで、けっこういつ死んでも大丈夫になったから。
ふんがー!