breath

母方の祖母の姉が入院した。一族の中で最も病院に近いのは我が家だから、おかんがこまめに様子見をしている。それほど大事な病気ではないのだけど、一週間点滴のみだというので辛そうだ。加えて暇、週刊新潮文藝春秋を持っていくのだけど、普段から読書量が半端ないのですぐ読み切るそう。やっぱりテレビが見たいと言い、カードをすでに五千円分購入している。
震災後いまのマンションに移り、一人でもよく出歩くし手芸品を贈ってくれるし、さほど心配していなかったけど、さすがにこの頃は参っているのだろう。おかんも中々病院を去りにくくて帰りが遅い。
父方の祖母が痴呆で入院したのは、私が小学生の頃だったと思う。覚えているのは、病室に入るときアルコールで手を消毒したこと、着ていた黄色のシャツを「良い色ね」と言われたこと。元からあの家系は精神衰弱の気風があったから、健康なときでもどことなく怖かったのだけど、死に近くなった祖母は形容できないほど危険に感じた。そんな祖母の姿を、鏡の中に見ることがあって、よくぞっとする。特徴的だと指摘されるこの口元は、確かに祖母譲りだと自覚している。
明日はふいに暇ができた。生気を届けに、見舞いに行こうか。