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スタジオは六時からで、四十分ほど暇があった。とりあえず機材を取りに部室へ行く途中、四回生の先輩とぱったり遭遇。浅黒い顔の、ギターがめちゃくちゃうまい男の人だ。四回生は形式上引退しているから、会うのは本当に久しぶり。上回生と仲良くなりたくて、果敢にひとり飛び込んでみたとき、優しくしてくれたひと。ノリもいいし顔もいい(笑)。ちょうど去年の学祭だ、打ち上げ中に撮った二人ともひどい顔のツーショット写真がある。立ち話になり時間があることを告げると、何か飲むか?、とコーヒーをおごってくれて、ベンチでだべることになった。


秋は、ほんとに落ち着くな。
あたしとの話題もさして無いから、つなぎでそんなことを言ったのかと思ったけど、先輩の表情は丸く穏やかで、ため息のように出た言葉だと思った。
そして、何を聞かれるかと思いきや就職のことで、あたしが将来をどう捉えているのか話すこととなった。もちろん確固としたビジョンなんかないし、あたしはまだ二回生だし、直接役立つことなんかひとつもなかった。それでも、他の人の考えてることを知れてよかったとのこと。先輩は四年で卒業できない人だから、在学するか否かをまず決めかねてるよう。確かに単位は取れていないひとだけど、人間性は素晴らしいことをあたしは知っている。選ばなければ何かの職につけるけど、親の骨を拾うのは俺だから。一番気にかかっているのはそこらしい。根気はないけど、先輩は絶対しょーもないひとにはなってないです、大丈夫です、口には出してないけどそう思った。
あとの話題といえば、やっぱりSさんのことで、奴と先輩は週一のペースで飲むほど仲がいいから当然でる質問だった。


「そもそもなんで付き合ったん?」
「正直言うと、人恋しくて。それだけやったんです。あんときやけくそでしたからねー。」
「あはは。まぁアリやろ。」
「元彼さんへの後ろめたさもあったし、元々そこまで仲良くなかったし」
「うん、だからめっちゃびっくりした。」
(そういえば、晩御飯の買い出しに二人でスーパーに行ったとき、この先輩と出くわしたんだった。なんか珍しい組み合わせやな、とか言われたりなんかした。)
「ああ、でも今は、好きですよ。なんか、横おったら、落ち着くんで。付き合うきっかけグダグダですけど、まあもういいやって感じです。」
Sさんに伝わる可能性もあるけれど、むしろ伝わればいいやと思い本音を言った。
そして時計を見るとかなりの時間が経っており、慌てて席を立つ。もっと対話したかったけれど、待っている子たちがいるんだ、急がなきゃ。先輩にお疲れ様ですを言い道を急ぐ。


秋はいい季節ですよね。