妄想で飼っている街が、夢に出てきた。
元々、夢から妄想を広げているのかもしれない。
だけど、確かにあの街が夢に出てきた。
いつも通りの少色で薄暗い夢。
でもいつもとは違うものが有った。
スピード感。
ぐるぐると画面は回転し、躍動していた。
私に文才が無いことを残念に思う。







雨が横殴りに降っている。
狭い螺旋階段。
決まった階で必ず踊り場がある。
唯一そこだけ、広い。
娼婦のような格好をした女が三人、
必死にその階段を駆け上っている。
この階段は「街」の外側の階段だ。
彼女達は街に入りたいのだ。
しかし、入り口が見つからない。
「街」から拒絶された者は、
ここの階段に飛ばされるんだ。
こういう仕組みなんだ、
と私は何故か知っていた。
彼女達は悲鳴を上げ、
雨と汗と涙にまみれてぐちゃぐちゃになりながら、
それでも上っている。
その映像が淡々と続くのだが、
サブミリナルの様に時折、
別の場面が挿入される。
例えば、
ベッドに上体を預けてぐったりしている若い男の映像。
アッシュカラーの短髪に眼鏡をかけている。
(今考えれば、
彼は昨日シルバーアクセサリーの店に居た店員に似ている)
その他にも、
短すぎて感じ取れない位沢山の映像があったが…忘れてしまった。
ふいに画面が反転する。
踊り場で、女達の中の一人が倒れている。
頭から、どくどくと血を流している。
残った女達はただ悲鳴をあげている。
私の夢はセピア色が多い。
けれどその中で、「赤」という色だけ過剰に識別される。
気分が、悪い。
その女がどうして倒れているのかは分からない。
階段から足をすべらせたのか、
誰かに殴られたのか。
分からない。
女達は叫び続けている。